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◎【沿線散歩】小川町 風格のある西光寺

 武蔵の小京都と言われる小川町は、千三百年の歴史を持つ和紙をはじめとした伝統産業がいくつもあり、古寺も多い。

 八つある小川町ハイキングコースの一つ、「お寺と和紙のふるさとを訪ねるコース」(約八キロメートル)を一月の休日に歩いてみた。三つの古刹を巡ったが、最も絵になるのは西光寺の鐘楼だろう。山門の役割も果たしているが、二層目の低部の四周を囲む庇(ひさし)があるため三層のようにも見え、趣きがある。

 本堂や、背後の仙元山の山裾と重なる風景も風格がある。鐘楼のそばにあるシダレ桜が咲く頃にまた訪れてみたい。

 コース始点の東上線小川町駅前の花水木通りにある「万葉モニュメント」の一つに、新年が豊年であるようにと祈った、大伴家持の万葉集の有名な歌、「新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事(よごと)」)が、西光寺の鐘楼の写真とともに掲げてあった。除夜の鐘に町民が集う光景だ。

 万葉モニュメントは、万葉集の歌一首とそれにふさわしい町の名所や風俗などの写真、解説を付けたもので、小川町が二〇〇五年末に、県の補助金を得て七十基設置した。この町で、鎌倉時代の学僧、仙覚(せんがく)律師が万葉集の注釈書を著したことにちなむもので、歌はNPO法人「仙覚万葉の会」が選んだ。

 毎年、初詣でにぎわう大聖寺(だいしょうじ)は、このコースのハイライトの一つ。観音山の中腹にあり、鮮やかな朱色の観音堂が印象的だ。

 周辺では、昔から緑泥片岩を産出した。この石で造られた、国の重要文化財、六面供養塔が大聖寺にある。南北朝時代(康永三年)に武将たちが法華経を千回唱えて供養したというだけあって、歴史の重みが伝わってきた。

 石と言えば、西光寺近くを流れる槻川(つきかわ)の荒々しい岩肌が清流と相まって記憶に残る。

 大聖寺からの帰りに立ち寄った埼玉伝統工芸会館では、何人もの手すき和紙の技能伝承者が語る、和紙作りへの思いが展示されており、興味深い。

 ところで、京都の魅力の一つは伝統料理の美味。この点、小川町中心部には、山岡鉄舟ゆかりの禅味のご飯「忠七めし」と、花魁が伝えた蒲焼「女郎うなぎ」を供する別々の割烹旅館が並ぶほか、うどん、豆腐料理、ヤキトリの店なども多く、味の散歩の好適地でもある。
(志木市在住 周防洋)

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