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安さんの鉄博通信 >> No.11 企画展「特急電車50年」〜ビジネス特急「こだま」からJR特急まで〜が始まりました。
企画展「特急電車50年」〜ビジネス特急「こだま」からJR特急まで〜が始まりました。
おかげ様で去る10月14日に開館一周年を迎えましたが、この間に延べ188万人余りのお客様を数えることができました。記念の行事や2週間のイべントウイークを終了し、少々落ち着いてきたところです。
11月1日からは上記の企画展「電車特急50年」が始まりました。電車特急の生い立ちの背景からその後の発展の経過を詳しくたどった見ごたえのある内容です。来春まで開催される予定ですが、電車フアンの皆様どうぞお出かけ下さい。ご参考までに見どころやポイントを紹介いたします。
列車(汽車)特急から電車特急へ
- 客車列車のスピードアップの限界・・・大出力の電気機関車で試験を行ったが、レールをはじめ地上設備にかかる負担が過大となる。
- 長距離電車列車の実用化・・・湘南電車(東京〜沼津間1950年)から中間電動車が登場し、長い編成の電車の運転が可能となった。
- ビジネス特急「こだま号」の成功・・・モーターや駆動装置の改良による飛躍的性能向上と豪華仕様の車体が開発された。
鉄路の主役へ
- 長距離の日帰り往復運転の実現・・・こだま号の実績により東海道線の「つばめ」「はと」が電車化され、車両の運用が格段に合理化された。
- 交流・直流兼用型電車の登場・・・首都圏から東北方面、関西から北陸や九州方面への直通運転が可能となり、電車特急が一挙に全国的に広がった。
- 寝台兼用型電車の登場・・・夜行の電車特急に加え、昼間は座席車としても使用可能となり、車両の運用効率が2倍となった。車両の留置施設も大幅に合理化が図られた。
新幹線の開業と車両の転用
- 東海道新幹線〜山陽新幹線の開業・・・こだま型車両の勾配線区向け改造により上信越地区などへの転用が進んだ。
- 新天地での改良型の登場・・・耐寒、耐雪装備を持った新形式が開発され、使用線区に適した車両により活躍の頻度と範囲が一層拡大された。
- 東北・上越新幹線開業と東日本新幹線網の拡大・・・特急電車運転線区、系統の更なる発展のため、途中分割と併結に適した形態の車両や短い編成の列車も登場した。
JR各社の特急電車
- 各社独自の新型車登場と個性化・・・デザイン、塗色、車内配置、装備などバラエティに富んだ構成となった。
- 列車の用途にマッチした車両の導入・・・ビジネス、リゾート、空港連絡などの目的を絞った専用車両が登場した。
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私の印象
- 機関車牽引の列車特急から動力分散式の電車特急への変革が良く理解できます。こだま号の成功が新幹線開発の基盤になったことに繋がります。
- 新幹線開業以降の特急車両の転用、改造などの興味深い経過がわかります。
- 展示品も傑作がそろっています。例えば寝台兼用電車(583系)の3段式寝台と座席の転換について実物大模型で手に取るように詳しく理解できます。
- 国鉄からJRへの特急電車が集大成され、ロングランの特別展にふさわしい力作です。
2008/11/13 鉄道博物館ボランティア 安川彰一