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安さんの鉄博通信 >> No.15 特別展「雪にいどむ」が開催中です

特別展「雪にいどむ」が開催中です

明けましておめでとうございます。鉄道博物館もおかげ様で3回目の新年をむかえました。年初は大変多くのお客様で賑わいましたが、ゆっくりご覧いただける様になりました。
   この年末年始は裏日本各地で例年より積雪が多かったようで、鉄道博物館の前でも雪をかぶった貨物列車が見られます。丁度良いタイミングとなりましたが、第4回企画展として「雪にいどむ」が去る12月19日から始まっております。
   大雪に正面から立ち向かった除雪作業主体の時代から、防雪、融雪、消雪へと近代化されて来た取組みについて詳しくまた興味深くご覧になれます。当企画展は2階の展示室で4月11日まで開催されますが、重ねてのご来館をお待ちしております。

降雪のメカニズムと鉄道の対応が詳しく理解できます。

日本海沿岸の地形と気象条件の図解にはじまり、豪雪と鉄道の対応について豊富な資料によって歴史的に捉えられています。かつてのような大雪と列車への影響は少なくなりましたが、雪国の人たちと鉄道との係わりの深さに心を打たれます。往時の除雪車両は大型で扱いにくく、関係者の苦労がしのばれます。

レトロな除雪車両の大型模型に眼を見張ります。

ラッセル車、ロータリー車、マックレー車などの大型模型(縮尺1/8)は長さが2メートルを超え、迫力が有ります。戦前製の模型と思われ、内部の工作も素晴らしいものばかりです。いずれも従来からの収蔵品ですが数十年ぶりのお目見えです。機械としての車両の構造が手に取るように理解でき、眺めているだけでも楽しいものです。
   現場では重量感あふれる黒い除雪車両が蒸気機関車と組んで活躍しました。会場内のミニシアターでは当時の除雪列車の映像に釘づけの方が絶えません。

除雪車両の近代化

初期の黒ずくめの車両(自走できず、蒸気機関車に押されて使用する)の時代から、1960年代になるとディーゼル機関車に除雪装置を搭載した車両(オレンジ色の車体)へと大きく転換しました。これにより、走行性能や前後進の際の機動性が大幅に向上しました。
   最近では、積雪の比較的少ない線区や駅の構内では機関車レベルの本格車両ではなく、保線用のモーターカーに小型の羽根などを装備した小型車両へと簡素化されています。車両の価格、維持費が大幅に合理化されました。

関連映像上映のご案内

展示室内のミニシアター
「鉄道防雪陣」「雪にいどむ」「奥羽本線特雪664列車」
夫々10分〜20分ほどの短編ですが終日繰り返し上映しています。
鉄博ホール
「氷雪に挑む」1952年、42分  1日3回

少雪化、融雪装置の普及、除雪車両の小型化などが進む中で、雪と鉄道をテーマとした恐らく最後の展覧会になると思います。どうぞご覧下さい。

2010/1/7   鉄道博物館ボランティア   安川彰一