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安さんの鉄博通信 >> No.16 運転シミュレーター25台の体験教室がオープンしました

運転シミュレーター25台の体験教室がオープンしました

不順な天候が続いておりましたが、鉄道博物館にビッグな春がやってきました。3年目の大きなプレゼントとして最新型通勤電車(E233形式)に準じた運転シミュレーター25台が一挙に導入され、本格的な運転士の気分が味わえる体験型プログラムが4月24日より始まりました。
   また企画展示室では、日本の鉄道黎明期に大きな足跡を残した井上 勝をはじめとする人々についての特別展が同日より開催されています。インストラクターはもとより、ボランティアも張り切ってお迎えしております。重ねてのご来館をお待ちします。

運転士体験教室

約40分間の運転体験です。

発車、停止といった基本走行を学ぶ「初級コース(定員25名)」が当面は1日4回〜5回開催されます。運転手順と操作の説明の後、いよいよセレクトレバーを握り一斉に「出発進行 !」です。
   高崎線の実車運転台からの映像が流れ始めます。隣の人を気にしている暇は有りません。
   時速100キロ前後までの加速はいとも簡単ですが、次の停車駅までの残りの距離がモニター画面に迫ってきます。私もリハーサル期間に操作しましたが、定位置にピタリと停車させるのは至難の技です。ブレーキの掛け具合の評価が乗客の表情の漫画で写ります。百聞は「実践」にしかず、先ずはトライ有るのみです。予約は当日ですが、午後の教室は比較的取りやすいようです。

初級コースの特徴

走行速度は任意ですので、スピードを上げれば早く到着します。その分ブレーキを強く掛けますので乗客が不安定となり、定位置での停車が一層難しくなります。多くの方がスピードの出しすぎです。早めに減速してゆっくり駅に進入するのが運転のこつです。
   6月から開設予定の「中級コース」、「上級コース」では所定速度での走行や定時運転が要求されますので、先ずは初級コースで速度とブレーキの感覚を身に付けておく必要があります。

実車映像の迫力

当館のすぐ前を通る高崎線大宮〜籠原間の下り線のものです。踏切やホームの自動車や人の動きに緊張します。乗車していたのでは気がつかないところにも曲線があり、減速しないとあせってしまいます。インストラクターの操作で雨や雪を降らせることもできます。
   本職の運転士を養成する「JR東日本研修センター」(福島県白河市)の同様の教室で私も一度トライさせてもらいましたが、そちらではCG(コンピューターグラフィクス)の映像です。リアルな感覚で練習できることは本職以上の条件です。
   但し、本職用の研修では非常時の対処として他の列車、自動車、人、線路障害などを表現する必要上からあえてCGの画像になっています。当館のシミュレーターではオーバーランしても安全な状態ですし、事故の恐れも有りませんので安心して下さい。

企画展示「井上勝と鉄道黎明期の人々

井上 勝と展示会の背景

井上 勝は山口県萩市出身の幕末の志士で同志と共に密航で英国へ渡り、鉄道に感銘を受けて帰国し、日本の鉄道の草創期に心血を注いだ人です。
   「日本の鉄道の父」と呼ばれており、本年が没後100年に当たります。この機会に明治期の鉄道建設と発展に係わった大隈重信、伊藤博文や英国人のモレル、トレシビックなどの人々も含めた関連収蔵資料を通して初期の鉄道史を集大成した展示会です。
   東京と関西を結ぶ鉄道路線が当初の中仙道ルートから東海道ルートに変更された経過、多くの私鉄が先行していた鉄道建設を国営にまとめ上げた一大変革など、分かり易く解説した又と無い展示会で、会期は7月11日までです。どうかお見逃し無い様ご案内いたします。

関連映像上映のご案内

鉄博ホールにて「井上勝の挑戦」----- 2004年テレビ山口の制作(46分間)を1日3回上映しております。本館2階の展示ギャラリーをご覧のあとお運びいただくと効果満点です。

2010/4/29   鉄道博物館ボランティア   安川彰一