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安さんの鉄博通信 >> No.24 おかげさまで開館5周年、記念企画展「鉄道開業ものがたり」が始まりました。

おかげさまで開館5周年、
記念企画展「鉄道開業ものがたり」が始まりました。

去る10月14日に鉄道博物館は開館5周年を迎えることができました。この間にご来館された延べ500万人を超えるお客様や、ご支援いただいた関係各位のおかげと深く感謝申し上げます。
  当日は、丁度日本の鉄道開業140周年の記念日にあたり、鉄道各社をはじめ各地で記念のイベントが開催され賑やかな一日でした。
  鉄道博物館ではこの際に鉄道の創業期を振り返る記念展示会を開催しています。
  日本が江戸時代末期に西欧文明の波を受け始めたころから、明治の新政府が殖産興業のためには鉄道が不可欠と判断した経過、人々が未知なる鉄道に出会った時の驚き、それをどのように受容し自分たちのものとしていったかと言う過程にスポットを当てた一連の歴史の流れを紹介しております。
  私たちに身近な存在である鉄道のルーツを知る、めったにない機会で、見ごたえのある展示会です。会期は来年1月14日までです。どうぞお出かけ下さい。

展示の区分と主な内容

鉄道開業前
  1. 日本が門戸開放や開港を迫られた時期に、ペリー(米国)、プーチャーチン(ロシア)が持ち込んだ蒸気機関車などの模型(レプリカ)
  2. 西欧の鉄道を目の当たりにした日本人の報告書や絵画
  3. 当時の先進国の蒸気機関車の模型
  4. 鉄道の受け入れ賛成派と反対派の様子と関連資料
  5. 鉄道反対派への配慮から新橋(汐留)〜品川など海上の築堤に線路を建設したこと
  6. 技術者として呼び寄せられたお雇い外国人
  7. 政府の対応と指示書など
開業期
  1. 品川〜横浜間の先行仮開業(一日に2往復)の様子、明治5年6月12日
  2. 開業式の状況・・・絵画と音響による再現、同年10月14日
  3. 新橋駅と列車の情景・・・舞台装置式の展示、誰でも乗れる鉄道であったこと
    横浜まで50分あまりで到着。従来は馬で半日、徒歩で10時間を要した
  4. 暦の切り替え・・・太陰暦から太陽暦へ
  5. 発車の合図の変遷・・・太鼓 〜 鐘 〜 電鈴
  6. 当時の様子を伝える錦絵や貴重な写真
  7. 鉄道古文書や記録など
開業後
  1. 日本人による鉄道建設と運営
  2. 蒸気機関車の国産化・・・明治26年、英国人技師の指導により神戸工場で
  3. 各地で進む鉄道建設と大きく発展する姿
    私鉄として開業した鉄道も明治末期に国営鉄道として統合され、8,400キロに及ぶ全国鉄道網が完成された。明治45年の鉄道路線図を展示
  4. 東京の鉄道も南北が結ばれ、中央の駅として現在の東京駅の建設着工・・明治41年
    完成は6年後の大正3年。尚、東京駅は今年の鉄道開業140周年にあわせて当初の姿への復元工事が終了しており、工事施工前後の姿などの関連展示もされている
  5. 鉄道によってもたらされた日本人の生活への影響と変化
  6. 鉄道開業、発展の歴史的意義
その他

多大な展示を分かりやすくする試みとして、今回は仮想のキャラクター3人を登場させ、随所の補足、解説をイラストを用いた会話形式の絵図で行っています。
  博士、テツ(10歳の少年)、ケイ子(当館の学芸員)が随所でお待ちしています。

2012/10/18  鉄道博物館ボランティア  安川彰一