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安さんの鉄博通信 >> No.29 東京駅開業100周年記念展「100年のプロローグ」を開催中

東京駅開業100周年記念展「100年のプロローグ」を開催中

東京駅が今月20日で開業から100周年を迎えます。
  常に日本の交通と文化の中心に有った東京駅ですが、開業は1872年の新橋〜横浜間の最初の鉄道開通より40年あまり遅れてのことでした。
  明治時代の鉄道は新橋の他にも上野、両国などを起点とした東京の各所から方面別に地方に向けた建設が先行し、やがて現在の山手線の西側半周部分に相当する品川から池袋の区間がそれに続きました。
  東京の交通ネットワークを形成し、「東京中央停車場」として現在の東京駅が考えられたのは明治後半のことでした。今回の特別展では計画段階の知られていない経過、建物の設計、構造から2012年の完全復元工事にいたるまでの話題、見どころをたっぷり紹介しています。
  東京駅の歴史再発見にどうぞお出かけ下さい。会期は来年2月16日(月)までです。

東京駅以前の鉄道路線

  • 新橋〜横浜間の官営鉄道開業後、国の財政的な事情から私鉄各社が夫々に起点を決めて地方への路線を建設したため、独立した連絡の取れない鉄道網が形成されかけていた。
  • 上野から高崎方面へは「日本鉄道」が、両国から房総方面へは「総武鉄道」が、飯田町(現在の飯田橋駅の南方)から甲州方面へは「甲武鉄道」が開業させた。
  • 品川から新宿、池袋経由で赤羽までを日本鉄道が第二期として、飯田橋から万世橋までを甲武鉄道が延伸したが、東京の中心部の路線が未開通であった。
  • これらの鉄道ネットワーク発展の経過が年次別の数枚の図でに解りやすく説明されています。

中央停車場の計画

  • 明治中期になって東京の都市計画上から南の起点新橋と北の起点上野を結ぶ市街地高架鉄道が計画され、各路線の結節点として後の東京駅となる中央停車場が計画された。
  • 駅舎は日本を代表する近代的なものが望まれた。ドイツ人技師フランツ・バルツアーによる和式建築の案も有ったが(その模型も新たに再現されている)、鉄道先進国である西洋に劣らぬものの要望も強かった。
  • 最終的には当時の著名建築家である辰野金吾のグループが計画をまとめ、現在の姿のものが明治41年(1908年)に着工された。
  • 展示された「中央停車場建物展覧図」は設計図から描かれた精巧で圧倒的な絵画です。縮尺1/100、長さ4メートル近いもので、元である青焼きの図面ともども初公開とのこと。

東京駅としての開業

  • 正式に「東京駅」の名称となり、各方面への鉄道の結節点として大正3年(1914年)に開業された。これにより後に山手線も開業することとなった。
  • 建物の全長は330メートルあまりで、建物も少なかった当時の丸の内地区を圧倒する威容を誇り将来の日本を先取りする象徴となった。
  • 関東大震災(大正12年)でも殆ど被害のなかった堅固な構築物であったが、戦時の空襲では南北それぞれのドーム屋根が破壊された。仮復旧の八角屋根で以降60年以上持ちこたえて来たが2012年の復元工事では本体に免震構造化とともに見事な往時の姿に蘇りました。
  • 復元工事の際に保存された基礎の松杭や構造部品もご覧になれます。

現在に至るまでの東京駅

  • 各時代を代表する東京駅発着の列車が模型やヘッドマーク、写真で楽しめます。
  • 懐かしいポスター、絵葉書、名所図絵などから旅行の歴史をたどることもできます。
  • 展示室の随所でこの間の市街地の様子、人々の姿を見つけることもできます。

2014/12/03  鉄道博物館ボランティア  安川彰一