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自分が変わらなければ何も変わらない〜(有)竹野 戸田の渡し

おいしい笑顔が見たい

  お店を受け継ぐことを考え、「二代目として、社会に対して何ができるか?」を心に置き、周囲の大人達の背中を見て育った。事業継承については、もちろん反発もあったが、まず入ってから考える気持ちでいた。経営理念を本格的に考えるようになったのは、2004年青年経営者全国交流会の報告がきっかけとのこと。1枚にまとまっているが、まだまだスリム化が必要だと感じている。
 理念を作成する際にベースの考えになっているのは、浅草で修行していた際に培った「商い」精神である。特にこだわった部分は、『笑顔と元気』の言葉。「商い」は私利私欲の為にするものではない。利益は個人のものではなく、会社も然り。そうしなければ、みんなが『元気』と『笑顔』でいられない。お菓子を通じて、食べるときのシチュエーション、食べた後の喜び、貰ったときの喜び、そんな特別なものにしたいと、1つ1つ丁寧に作っている。以前、楽天モールにて『おいしい笑顔が見たいから、日本一のどら焼きを目指します』とコピーを打出し見事、売り上げ1位を達成した。過大広告だとの批判もあったが、それ位の気持ちだと表現した。言葉にすると気持ちは具現化していくことをこのことから確信した。社内では朝礼を始め、社員に目標を伝えた。一番肝心なことは、理念を作成しても、自分が変わらなければ何も変わらないということ。そうしていかなければ、自分の成長も感じられないと思います。

経営革新計画の承認

   また、今年の2月には「健康と食育」をテーマに経営革新計画の承認を受けた。認定を受けるまでに半年かかりました。具体的に数字を計画として落としこむ作業は、自社の全体像をつかむのには良いチャンス。申請の際に、担当者から質問される内容も、客観的に捉え直す良いヒントとなった。支援法認定自体の効果はまだまだこれから。「積木のように重ねていった結果ようやく形が見えてくるものだと思っています」。
 商売を続けていくには、常に革新していかなくてはならない。中小企業が時代の流れを読み、新しい時代をつくりそれを大企業が席巻する。そして、また新しい物を作っていく…の繰り返しだと思う。しかし、商売について考えたとき、基本的には人の流れは変わらない。手段は変わるけど「人と人のつながり」という点では共通。だから、縁を大切にしたい。重要なことは人からしか教えてもらえない。どんな人とご縁になるかは、自己責任で決める。同友会にもすばらしい人、情報がたくさんある。何気ない会話からもキャッチできる機会がころがっている。ネット販売のヒントを得たのも、例会の報告を聞いてである。経営理念について考えるようになったのも、同友会が関係している。当時の環境からすれば、「考え直せ」と言われるなど、決して追い風が吹いているわけではなかった。しかし、大切なのは、情報を宝物としてしっかりとキャッチできるかどうか。業態・業界を客観的にとらえ、時代にいかに乗せていくか、またしかけていくか。これらの決断は最終的に自分自身だが、それを支え、励まし後追してくれるのは、縁あってつながりができた人だった。

感性のネットワークで革新を続ける若き商人

   引地氏が印象に残っている言葉に、高杉作晋作の辞世の句『面白きこともなき世を面白くすみなすものは心なりけり』という言葉がある。意味は「自ら時代を作る」全てのことは自分次第。また、お店の片隅には、『天地壷中』と書かれた色紙があった。神奈川の河童寺、常泉寺のおしょうさんからいただいたものとのこと。意味は天も地も全て壷の中。ここでの壷は、自分の心である。これらからも、引地氏の考え方を垣間見ることができる。
 今回の取材を通して、引地氏は「感性のネットワークで革新を続ける若き商人」そんな言葉が似合う人であった。

経営理念

美味しいの声が聞きたいからをモットウに、
我々は「社長も元気」「社員も元気」「お菓子も元気」
お菓子作りを通じて、我々にかかわる すべての人たちと
元気と笑顔をわかち合う、そんな幸福の実現を
季乃杜 竹野一同の総意とします。

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