東上沿線物語
 
 

【沿線散歩】越生梅林

2010/04/21配信  提供:東上沿線新聞

【沿線散歩】越生梅林
 越生梅林は、水戸偕楽園、熱海梅林とともに関東3大梅林の一つに数えられる。梅の見頃は過ぎていたが、3月中旬の休日、東上線の坂戸で越生線に乗り換え、越生に出かけてみた。

 偕楽園のような庭園風の絢爛な梅林を想像して出向くとがっかりするかもしれない。しかし、今回、園内の花見櫓にあがってみると、梅の里と形容すべき美しさに感じ入った。園内に加え、山すそに広がる梅の花の白い群れは絵になると思った。

 越生町内には食用に栽培する梅農家が何軒もある。今回、行きは越生駅からバスだったが、帰りは越生駅まで小一時間歩いた。すると、道の右に左にとこうした農家の梅が目を楽しませてくれた。まさに梅の里という実感を抱いた。

 その中に、1本1本に個人の名札がぶらさげてある梅の木が目に入った。観光協会と梅農家が募集している「梅のオーナー」である。収穫料金として1本1万2千円を支払うと、「オーナー」として花見から収穫まで楽しめるという。もちろん収穫した梅は持ち帰れる。

 観光用の梅林は広さが2ヘクタールで、白加賀、越生野梅、紅梅など約千本が植えられている。上にすっと伸びる枝に、引き締まった花を連ねた梅も数多く残っていた。

 園内の歌碑には国文学者で歌人として知られた佐佐木信綱の歌が3首刻まれている。明治34年に29歳のときに訪れて詠んだもので、その一つに「入間川高麗川こえて都より 来しかひありき梅園のさと」とある。当時は東上線も越生線(前身の越生鉄道)もなく、もちろん道路もあまり整備されてなかったが、東京からわざわざ訪れる価値があると惚れ込んだようだ。

 越生梅林は、南北朝時代の1350年、九州の太宰府から菅原道真の霊を、現在の梅園神社に分祀したときに道真にちなんで植えたのが始まりと伝えられる。同神社は越辺(おっぺ)川の清流を挟んで梅林のそばにある。立ち寄ってみると、境内の枝垂れ梅が見頃だった。そこから見る本殿やその前に聳え立つ2本の杉の巨木は神々しい。後ろには天然記念物のスタジイ林が広がる。

 本紙24号(09年7・8月号)の「ひとえき散歩」欄でもその里歩きが紹介されているが、越生には見所が多い。上谷(かみやつ)地区に埼玉県内一の巨木という大クスがあるほか、さくらの山、山吹の里、五大尊つつじ、あじさい山と、梅のあとも時を追って見頃を迎える花の名所が目白押し。黒山三滝の紅葉も美しい。自然豊かな山里である。

(志木市在住 周防 洋)
『東上沿線物語』第29号より

最終更新:2010年4月21日(水) 16:15:35

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開催場所
越生梅林
団体分類
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地域大分類
県西
地域小分類
入間郡越生町
対象ステージ
指定なし

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