〜ボールパークは異次元空間〜
MLBもすっかりストーブ・リーグに入ってしまった。しばらく間が空いてしまったが9月のMLB観戦旅行のなかからの第2弾である。
さて皆さんは何をしにボールパークへ行かれるのであろうか?当たり前の話しであるが「ボールゲームを見るために行く」という答えが返ってくるであろう。しかしながらボールパークは、ファンにとって単に野球を楽しむだけのところではない。また日本のように鳴り物入りの統一的な(強制的な)応援が試合中のべつ幕なし行われることもないので、ファンそれぞれの個人的な嗜好でボールゲームを観戦し、ボールパークを楽しんでいる。アメリカでも統一的な応援が全くないわけでもない。ホームチームがチャンスの時、ピンチの時に電光掲示板や場内エレクトーンに促されて、拍手やノイズを立てたり、「チャージ」と全員で叫んだりはする。しかし3時間を超す、試合時間の大半は日常生活からは離れた異次元の空間としてのボールパークを楽しんでいる。
アメリカのボールパークでよく見かける光景を紹介しよう。まずグローブを持った人が多いことだ。最近は日本でもよく見かけるようになったが、アメリカでは老若男女にかかわらずグローブを持ってきているファンの数は多い。彼らのお目当てはファウルボールやホームランボールを取ることで、時々彼らの行きすぎた行動が試合結果に重大な影響を及ぼすこともニュースとなるが、とにかくボールに対して彼らはアグレッシヴである。ボールが来たと思えばボール目掛けてファンが殺到し、ダイレクトでボールを取れば、一躍“ヒーロー”となるし、ヘマをすれば大笑い、時にはブーイングすれ起きるのだ。試合経過よりファウルボールの飛ぶ方向の方に関心があるのかと感じさせるファンもいるくらいだ。
次にサインだ。いわゆるファン手作りの応援用のボードである。デザインやゴロ合わせに凝っているものも多い。特にその試合を放送しているネットワークのイニシャルを使ったものは、場内テレビやテレビ放送に映る可能性が高い。彼らのサイン作りにも力が入る。
日本ではあまり見られないが、アメリカではお年寄りのファンのなかにはスコアをつけながら観戦している人をよく見かける。写真はオークランドで近くに座って観戦していたおばあさんだ。全くの自分の世界に入りこみ、ひたすらスコアをつけていた。
最近のボールパークには外野席の後などにアミューズメント・スポット(遊園地)を設けているところが多い。3時間を超えるボールゲーム、子どもたちにとってただシートに座っているのは苦痛である。このような場所で試合前や試合の途中に飽きてしまった子どもたちのご機嫌をとることも将来のフォンを育てる大事な役割となっている。
この他、ボールパークの外でボールゲームを楽しんでいる人たちもいる。サンフランシスコのSNBパークでは、ライト側の外はすぐ海となっている。飛距離のあるホームランボールは場外となり海の中へと落下してくる。彼らはボートに乗り、いつ来るのかわからないホームランを取るため海でひたすら待っているのである。9月に訪れた時に海へのホームラン、“スプラシュ”は球場開設以来37ホームラン、そのうちジャイアンツの主砲バリー・ボンズが31本であった。
ボールパークはその内外を問わずボールゲームを楽しむ異次元空間である。ボールゲームを皆が自分流で楽しんでいるのがアメリカのボールパークである。
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